50代を迎えると体のあちこちに“老化”が忍び寄ります。
老眼が始まってメガネを初体験という人も多いのではないでしょうか?
目とともに重要な感覚器官である耳。
聴力も年齢と共にほとんどの方が衰えていきます。
ただ、視力と違い聴力の衰えが大きくなるのは60代の後半から。
しかし、50代で難聴が始まる人も少なからずいます。
まだまだ働き盛りでの聴力の衰えは、問題も多くなりますね。
職場でも家庭でも50代での難聴によるコミュニケーションの減少は、さまざまな弊害をともないますよね。
そんな50代で始まる難聴への対処法を、体験を交えてお伝えします。
妻から補聴器の使用を提案されました
実は筆者(50代)は難聴の自覚があります
家の中だけでいいから補聴器つけてみない?
コミュニケーション不足を懸念した妻から補聴器の提案をされました。
それでも結構聞こえているし、特に問題もないけど…..
おそらくほとんどの方は私のような反応をすると思います。
あなたは問題がないと考えているけど私には問題ありよ
難聴の自覚はあったものの、仕事上で困るほどではなかったですし、夫婦の会話もできていると思っていたのでそれほど問題意識はありませんでした。
ところが妻にしてみれば会話に苦労していたようです。
聞き返されるのも面倒だし、返事がない時は聞こえてるのかどうかの判断がつかないのよね
難聴に対してちゃんと向き合おうと思ったやりとりです。
難聴の種類と治療法
単に「難聴」といっても、その症状や原因は人によって大きく異なります。
難聴の種類と原因
難聴は耳の障害部位の違いで3つに大別されます。
- 伝音性難聴・・・外耳から中耳までの間の障害。中耳炎など。治りやすい。
- 感音性難聴・・・内耳や聴神経の障害。病気や加齢が原因。治りにくい。
- 混合性難聴・・・伝音性と感音性の両方の症状があるもの。
急性中耳炎やメニエール病などが原因の突発的に発症する難聴は初期の段階では薬によって改善する場合が多いので早い段階での通院が効果的です。
一方、加齢によって起こる難聴は徐々に進行する感音性難聴です。加齢性(老人性)難聴と呼ばれ、気がつくまでに時間がかかります。
原因は加齢による機能の低下で、老眼同様に誰にでも起こります。
加齢性難聴の治療方法は無い
加齢性難聴は加齢以外の原因はありません。
また、
加齢性の難聴は現在では治療の方法はありません
加齢性の難聴は、内耳にある蝸牛と呼ばれる器官の“有毛細胞”が、加齢に伴って無くなっていくことが原因で起こります。
この有毛細胞は一度無くなると再生できません。
加齢性難聴の治療ができない要因です。
有毛細胞は誰でも摩耗します。
人によって耳が遠くなる度合いに違いが出るのは、有毛細胞の減り方の違いによるものです。
加齢性難聴は気が付きにくい
日本の高齢者の難聴の割合です。60歳代前半は5〜10人に1人の割合です。
年齢 | 男性(%) | 女性(%) |
65〜69 | 43.7 | 27.7 |
70〜74 | 51.1 | 41.8 |
75〜79 | 71.4 | 67.3 |
80〜 | 84.3 | 73.3 |
60代半ばを過ぎると急激に増えますが、加齢性の難聴は気が付きにくいと言われます。
加齢性の難聴はなぜ気が付きにくいの?
徐々に進行することも理由だけど、認めたくない気持ちも大きいのかもしれないね
難聴に気付くきっかけ
誰にでも起こる難聴ですがその始まりは気が付きにくいです。
しかし日常生活で気付きのサインは多くあります。
- 家電や体温計などの電子音が聞こえない
- 銀行や病院などの窓口での呼び出しが聞こえない
- 電車のアナウンスがわからない
- 女性の声が聞きとりづらい
- 背後から話しかけられると理解できない
- よく聞き返すようになった
- TVのボリュームが上がった
これらのサインに覚えがあれば加齢性難聴の始まりです
そして、難聴の問題点として、当人が認めたがらないことが多くあげられます。
ウチの親も「聞こえている」「困ってない」って言い張っていたなぁ
高齢になるほど自分で難聴を認めなくなる傾向があります。
聴力検査を受けてみました
まずは聴力の検査を受けてみることにしました。
検査結果
検査の結果は軽度から中等度の難聴でした。
聴力レベルは
- 正常
- 軽度難聴
- 中等度難聴
- 高度難聴
に分けられます。平均で40dB(デシベル)を超える中程度難聴とされると、補聴器の使用を推奨されます。
聴力検査の方法
検査は3つの方法があります。
- スマホの聴力検査アプリ
- 耳鼻科
- 補聴器販売店
1.スマホアプリ
アプリストアで聴力検査アプリがダウンロードできます。まずは自分でスマホでも聴力を調べられます。
しかし、アプリで自分での検査は環境やイヤホンなどの器具に左右されるので、あくまで参考として考えましょう。
2.耳鼻科
耳鼻科へ行けばもちろん聴力検査をしてくれます。加齢性以外にも病気が難聴を引き起こしている場合もあるので耳鼻科での検査、検診は必須です。
3.補聴器販売店
眼鏡店や補聴器販売店でも聴力検査をしてくれます。耳鼻科で受けられる検査と環境は変わらないので、信頼性できます。
また、検査は「認定補聴器技能者」のいる「認定補聴器専門店」を選びましょう。補聴器は「医療機器」であり、使用するのには使用者にあった細かな調節が必要です。
オススメは補聴器販売店
筆者は3つとも実行しました。
3つの中では補聴器販売店での検査がオススメです
理由は2つ。「無料であること」「詳しい検査をしてくれること」です。
あくまで私の体験からですが、詳しく聴力を調べてくれたのは補聴器販売店でした。ロードサイドにあるメガネ店です。
ビジネスなので丁寧なのは当たり前なのかもしれませんが、当人にとっては詳しく検査されるほど安心です。
補聴器販売店で検査をしてもらうには予約来店が喜ばれます。検査には30分程度の時間をかけてくれます。認定技能者の販売員の空き時間を提案してくれるでしょう。
病院の検査
また、私が来院した病院では補聴器販売店の1/3ほどの時間でしか検査をされませんでした。もちろん病院にもよるとは思いますが……..
耳鼻科では何か病気が潜んでいるかの検査を受けたければ大きな病院を紹介しますと言われたので、何か大きな病気の可能性がありますか、とたずねたら、ほとんどないですとの回答でした。
耳鼻科では補聴器への言及はありませんでした。
ただ、軽度の難聴の場合、補聴器の使用を推奨されるはっきりしたラインはありません。医者によってすすめたりすすめなかったりがあるようです。
それでも、病気の可能性もあるので一度は耳鼻科での検査はしてもらいましょう
結果
以下は私のスマホの検査結果のグラフです。病院や販売店での検査結果はもらえなかったので参考に。横軸が音の高低(ヘルツ:Hz)縦軸が音の大きさ(デシベル:dB)
緑の線より上が正常
黄色い線までが軽度難聴:(25dB〜39dB)
赤い線までが中等度難聴:(40dB〜69dB)
赤い線より下が高度難聴:(70dB〜89dB)
聴力90dB以上は重度難聴
これは耳鼻科、補聴器販売店での結果より悪い数値がでましたが、グラフの形は近いものがあります。全体的には1000Hzまでは軽度の範囲に収まっていました。
アプリでは使用するイヤホンなどで変わってしまうので数値的に信頼はしかねますが、良いか悪いかの目安とすることはできるかなと思います。
同じイヤホンで誰かに同じテストをしてもらい、人との聞こえの差を客観的に知ることはできますね。
聴力検査は2種類の検査があります
- 純音聴力検査
- 語音聴力検査
純音聴力検査は、どの周波数の音が聞こえづらいのかを調べます。聞こえる音の種類を、7つの周波数を用いて調べる検査です。
人の声はだいたい250Hz〜4000Hzです。前述のグラフでは山が降り始めてなだらかになるくらいまで。高い音はほとんどの人が加齢に従い聞こえなくなります。
一方の語音聴力検査とは言葉の聞きとり能力を検査します。難聴は小さい音が聞こえなくなるのと同時に、言葉の聞き取り能力が低下します。
語音聴力検査では子音の聞き分けができるかを調べます。たとえば「か」と「さ」の聞き分けができるかをみます。難聴が進むと「加藤」「佐藤」や「さかな」「たかな」の聞き分けができなくなります。
実は筆者の訪れた耳鼻科では純音聴力検査しかされませんでした
難聴では音の大きさの聞こえ方を調べる純音聴力検査よりも、音の聞き取り能力を調べる語音聴力検査のほうが大切です。
なぜなら音の大小を補聴器で補うことは簡単なのですが、聞き取り能力を補うのは補聴器だけでは限界があるそうです。
語音聴力に問題がある場合はできるだけ早く補聴器を使用したほうがよいそうです。
補聴器使用を決断
検査の結果からは緊急に補聴器を使用する必要はありませんでした。
しかし
補聴器を使う決断をしました
加齢性難聴は治ることはありません。
ですが、補聴器を使用することで、進行を遅らせることができるとされています。
言葉を使いコミュニケーションをとることは、聞き取る力を保つ訓練として最適だそうです。
逆に、言葉のコミュニケーションが少ないと、聞き取る力の衰えは早くなってしまうということ。
でもやっぱり抵抗があるのだよね
補聴器への抵抗感
補聴器はどうしても高齢者のものというイメージが大きいです。
ましてや高齢者でさえ、使用することへの抵抗感が強いので、50代、60代はなおさらですよね。
それでも決断した理由としては
です。
使用は主に家の中です。TVのボリュームはうんと小さくなりました。家電の電子音が聞こえるようになりました。そして一番の効果は
私(妻)のストレスがうんと減ったことね
この二つは妻にとっては大きなストレスだったようです。
私は会社員ではないので日常で大勢の会議などはないのですが、会社員の方で難聴であることの苦労とプレッシャーは想像ができます。
老眼が始まると老眼鏡はみな抵抗なく使い始めます。
しかし、補聴器の使用はハードルが高いですよね。
価格も大きな理由とは思いますが、聞こえが悪くなった自覚があれば、前向きに使用を考えることはいいことではないかと考えます。
使用することでの日常生活のメリット向上は、その投資に十分見合うものです。
一見それとわからないスタイリッシュな補聴器もあります。
メガネみたいにもっと一般的になって価格も下がらないかなぁ
補聴器を使用してみて
まだ補聴器の使用を始めて3か月程度です。
一言で言えば「使ってよかった」。
使用場所はほとんど家なのでもっと色々なシチュエーションで使用していこうと思っています。
進行の予防に関しては何年も先のことになるのでわかりませんが、現段階ではこれが最良なのかなと思っています。
なによりも「夫婦のコミュニケーション」が良好になったことは、子供たちが独立し、2人の生活に戻った私たちにとってはとても重要なことなのだと思うのです。
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